田中ぶどう園の想い

こどもたちが傘かけをしたぶどうたち

「大阪ぶどう」と「神宮寺ぶどう」の成り立ち

大阪は柏原、羽曳野、太子町、枚方、交野など、ぶどう栽培が盛んな土地柄です。
品種はデラウェア、ピオーネ、シャインマスカット、マスカットベリーAなどが栽培されています。
「大阪ぶどう」の平成25年度の収穫量は5,140トン(小学校25mプール(360トン)の約14杯分)で全国9位、デラウェア収穫量に限っては全国3位です。
栽培面積は436ha(東京ドームの約93個分、甲子園球場の約112個分)という広大な栽培面積を誇っています。
「大阪ぶどう」の栽培の歴史は、約300年前に柏原市で日陰樹が栽培され、明治17年から本格的な栽培が行われるようになりました。
わたしたちの交野市(神宮寺)では、第二次世界大戦後まもない昭和25年ころ、もも栽培からぶどう栽培に移行しました。
昭和30年代からハウス栽培、昭和35年からジベレリン処理による種なしぶどうの栽培が行われています。

「田中ぶどう園」の歴史

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「田中ぶどう園」の歴史は、「神宮寺ぶどう」の歴史です。

・昭和20年代後半、もも畑からブドウ畑に転換
・昭和30年代からハウス栽培開始
⇒安定した栽培、作業の分散と早期収穫が可能になりました。
・昭和35年ころジベレリンを使用することにより、ぶどうの商品価値が上がる
⇒種なしぶどうが栽培されるようになりました。
・従来の販売は『生産⇒仲買人(青果市場)⇒お店』という方式だったのが、昭和60年くらいから『直売』が主流に
・昭和60年くらいから、ぶどう狩りにより観光農業としての経営が広がり、販路拡大・地場産業の活性化

「田中ぶどう園」は、これまでもいろいろ工夫してぶどうの生産を続けてきました。

「神宮寺ぶどう」の現状

そんな発展を続けてきた「神宮寺ぶどう」ですが、現在の状況はたいへんであると考えています。

・栽培農家が減少
栽培農家:以前は26軒ほど⇒現在14軒ほど(そのうちの数軒は、80代のお年寄りがひとりでぶどうを栽培)

・栽培面積の減少
面積:昭和58年当時13ha⇒平成18年以降8haへ

・ぶどう狩りの来場者の減少
来場者:当初(昭和60年代) 約1,500人/家⇒ぶどう狩り対応農家20軒くらい⇒現在 約600人/家⇒ぶどう狩り対応農家6軒

神宮寺ぶどう栽培が、このままではなくなってしまうのではないか。
畑が、資材置き場・駐車場・別のものに代わってしまう。
交野の特産物がなくなる。
活性化できない。
緑や里地の風景がなくなる。
そんな危機感を感じています。

「神宮寺ぶどう」を守っていきたい!大切なことはなにか?

神宮寺ぶどうを守っていきたい!

①地場産業としての神宮寺ぶどうの栽培を維持し、産業の活性化と地域振興

産業活性化に必要なことは?
・ぶどう畑を減らさない
・ぶどう生産者が増え、持続可能な状態になる
・神宮寺ぶどうがブランド化される

地域振興に必要なことは?
・地域に活気が出てにぎわう
・産業が盛んになる

②交野の半分は、山でありその裾野の里地・里山が広がっており、これが交野にとって、貴重な資源(地域資源)であるのではないか

神宮寺のぶどう畑を守ることは、産業としての交野の特産物を守る以外にも主に次の3点につながります。
・最も交野らしい里地里山風景(景観)を守ることにほかならず、この風景は大切な交野の宝物であり、街の魅力のひとつ
・自然の空気清浄器=植物には大気浄化能力がある
・自然の防災装置=雨水を蓄える機能がある

「田中ぶどう園」では、「これらを守ることは、交野の魅力、宝物を守っていくことにつながる」と考えています。

ぶどう栽培の活性化と地域の交流をめざして

「田中ぶどう園」ではぶどう栽培の活性化のきっかけになればと、2015年夏から「神宮寺ぶどうビネガー(デラウェア・ピオーネ)」「神宮寺ぶどうシロップ(デラウェア・ピオーネ)」という本格的な加工商品の開発とPRを進めてきました。
わたしたちにとって初めての取り組みであり、スキルがないなか、「交野が好き!まちを元気にしたい!まちをよくしたい!」という人たちの協力で、2015年夏に商品化が実現しました。
また、2016年には交野市立星田小学校さんからお声をかけていただき、神宮寺ぶどう園での体験学習が実現しました。
こどもたちはぶどう園で傘着せという作業を体験し、笑顏の花をいっぱい咲かせてくれていました。
「地域の想いがつながり、あらたな想いが生まれていく」、そんな感慨を得た瞬間でした。

2017年以降は、街を越えてのコラボレーションが実現し、枚方市の『ナチュラルスイーツ工房れんげそう』さんとのコラボよる期間限定のスイーツ販売、千林大宮の『パン屋のグロワール』さんとのコラボによるレーズンブレッドやシュトーレンの販売が行われました。

人が交流すると笑顔が増え、地域の持つ空気感が明るくなるのを、わたしたちはコラボ事例から学んでいます。

・町をよくする
・元気にする
・賑わう
・魅力あふれるまちにする

『この町をよくするのは誰でもない、そこに住んでいる人たちである』と、わたしたちは考えています。
「田中ぶどう園」の取り組みは、「小さな物語」かもしれません。
その「小さな物語」が、やがて「大きな物語」につながるように。
できることをできるところから、一歩一歩進めていきます。

交野山とぶどう畑

 

「神宮寺ぶどうを守っていきたい!」スライドショー